お雛様は若い頃から一度は作ってみたいと思っていた。
そろそろ作らないと間に合わない・・・「小さいもの=可愛い」は日本文化の中にあるーという或る学者の話を聞き、なるほどと思った。年齢と共に小さいもの美しいものに関心が出て来ていることに気づいて来ているからだ。日本人としての意識も還暦を過ぎて深まってきていた。丁度孫の初節句に合わせ、兎の内裏雛をつくってみたところ、あまりの美しさに嬉しくなり、続けて作ってみた。
日本の祝いや祈りに通じる文化も考えて白い動物ばかり犬、鼠、猿、兎にした。お雛様は随分見て廻ったが、すべて伝統と職人芸でできているもの。私は自分流にデザインして試行錯誤しながら作ったけれど、出来上がった嬉しさは格別だった。 |
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もう17年も前になるのだが、好きな絵を見ている時に、中の人物を動物にしたらどんな動物になるだろうと考えるのが楽しかった。面白い、作りたい、直感や遊び心も手伝って次々と描いたデッサンが、今数えて29枚ある。その中から年に一作ずつ途中休んだりしながら作ってきた。画家の気持ちになり、モデルの気持ちになり、その雰囲気を出しつつ動物の習性も出していく。パロディだからと俗っぽくならないよう、気持ちを引き締めて制作に当たる。資料を集め、材料を探し廻り、糸を染め、布を染め、柄が無ければ描いて・・・・
時空を超えて空想しながら形にしていくのはとても楽しいもの。ただ、見て下さる方に好感を持っていただけるかが問題で緊張してしまうところである。 |
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