紙谷元子 作品展 
※ 名画パロディシリーズ ※
会期:2005年11月14日(月) ~ 11月22日(火)
会場:銀座人形館 Angel Dolls
          
デューラー ≪自画像≫
ミレー ≪種蒔く人≫
デューラーは繊細な画家だが、実におしゃれだと思う。自画像だから気取ったポーズは鏡を見ての横目である。
斬新なデザインの白黒のなめし革の帽子、ブラウス、上着、マント。服選びのセンスがいい。おしゃれで品がいい。美しい長い金髪は、すぐにこの色の犬の耳を想像させた。
ミレーの種蒔く人は絶対におんどり。姿がのびのびと出来るし、ミレーのやや暗い農民の色調が似合いそうに思えた。大地をしっかり踏んで上手に種を蒔いて下さい。夕暮れが迫っています。
蒔いた種をついばまないでネ。
          
マネ ≪笛を吹く少年≫
パスキン ≪花束をもつ少女≫
笛を吹く手つきから、5本指の器用な動物がいいと思った。シリーズの中で唯一サルかアライグマか迷ったけれど中年が近いこともあり、年賀状に使いたいと思って日本猿にした。マネの真似、サルとマネ、サルマネとなって人気になってしまった。このポーズは重心のとり方がとてもむずかしい。画家は実物をそのままでなく誇張と省略をしながら描いているのがよく分かる。
人間の少年のプロポーションで人形を作ったが、ポーズさせるとなかなか絵のようにはいかない。ズボンをこの時代の吊りの形に作り直してやっと落ち着いた。
20年前、生誕1 0 0年展ではじめてこの作家を知った。女性や少女を沢山描いているが、何とも淡い色調で好きな絵だ。この背景に溶け込むような色彩と筆使いの人物画の魅力は、人形ではむずかしい。おとなしい感じを少女に感じて、子羊にしてみた。
          
岸田劉生 ≪麗子八歳洋装之図≫
グルーズ ≪毛糸をまく少女≫
麗子はこの時、学校を休んで、父劉生のモデルをつとめている。一輪の花を持たせたポーズは、デューラーの影響と思われるけれど、3才の頃から、どの位じっとモデルをしてきたことか。麗子はほんとうに偉い、いじらしい、健気である。モダンなチェックのワンピースと共に親子の様子が目に浮かぶ。この秋この絵と同じ色と形の小菊を見つけ、一輪だけ小さなグラスに飾った。
この少女の華奢な手つきはネズミしかないと思った。
原画は横に子猫がいたので、ますますネズミがいい。
小道具や仕草にこの時代の生活を溶ませたかった。同時代の有名なシャルダンの絵に同じ服装があって参考に出来た嬉しさも忘れられない。スカーフや上着の縞は手描きにした。
          


≪民族衣装の子供たち≫