紙谷元子 作品展 
※ 動物雛と名画パロディ ※
   
動物雛によせて 名画パロディに寄せて
お雛様は若い頃から一度は作ってみたいと思っていた。
そろそろ作らないと間に合わない・・・「小さいもの=可愛い」は日本文化の中にあるーという或る学者の話を聞き、なるほどと思った。年齢と共に小さいもの美しいものに関心が出て来ていることに気づいて来ているからだ。日本人としての意識も還暦を過ぎて深まってきていた。丁度孫の初節句に合わせ、兎の内裏雛をつくってみたところ、あまりの美しさに嬉しくなり、続けて作ってみた。
日本の祝いや祈りに通じる文化も考えて白い動物ばかり犬、鼠、猿、兎にした。お雛様は随分見て廻ったが、すべて伝統と職人芸でできているもの。私は自分流にデザインして試行錯誤しながら作ったけれど、出来上がった嬉しさは格別だった。
もう17年も前になるのだが、好きな絵を見ている時に、中の人物を動物にしたらどんな動物になるだろうと考えるのが楽しかった。面白い、作りたい、直感や遊び心も手伝って次々と描いたデッサンが、今数えて29枚ある。その中から年に一作ずつ途中休んだりしながら作ってきた。画家の気持ちになり、モデルの気持ちになり、その雰囲気を出しつつ動物の習性も出していく。パロディだからと俗っぽくならないよう、気持ちを引き締めて制作に当たる。資料を集め、材料を探し廻り、糸を染め、布を染め、柄が無ければ描いて・・・・
時空を超えて空想しながら形にしていくのはとても楽しいもの。ただ、見て下さる方に好感を持っていただけるかが問題で緊張してしまうところである。
   
会期:2007年2月16日(金) ~ 3月2日(金)
会場:銀座人形館 Angel Dolls
          
テラスに立つ少年

ダイク 1599 - 1641
人形制作2007年 H:46cm

この品のよい貴族の金髪の少年には、私の友人の愛犬がぴったりだと思った。しかし、ヨークシャーテリアのご自慢の愛くるしいふさふさの毛並みは、作るのが難しくて途中で断念したり、試行錯誤をしながら十年以上の時が過ぎてしまった。もうそのモデルはいない。
          
自画像

ゴッホ 1853 - 1890
人形制作2006年 H:36cm

ゴッホは自画像を多く描いているが、これは亡くなる2ヶ月前の作品で、不安定な心境が表れている。オレンジ色の髪や目の鋭さから虎にした。自画像は鏡を見て描いたので上着の合わせが反対になっているが、その通り反対のまま作るかは随分迷った。絵は腕までだったので、あとは別のゴッホの絵を参考に作った。